茨城大学
教育学部
学校教育教員養成課程 特別支援教育コース 障害児教育教室

顔写真
特任教授

東條 吉邦

トウジョウ ヨシクニ
TOJO Yoshikuni

プロフィール

  1.  私は、大学院生の頃から現在までの40年間、自閉症(現在は、自閉スペクトラム症と呼ばれている)の基礎研究と臨床実践・臨床研究を続けている。
     最近、特に関心をもっている研究課題は、自閉スペクトラム症やADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害のある幼児・児童・生徒が急増している現象の実態について分析し、急増の原因を解明するとともに、発達障害の発症率を低下させる方策と症状改善のための方策を確立するという課題である。
     さらに、「繰り返しや規則的な要素が強いと同時に社会的随伴性のない情報過剰環境に対応(適応)しようとする乳幼児の自発的な行動が、自閉スペクトラム症の発症の原因となっている可能性がある」という私の仮説(JSPS科研費JP26590250の研究成果報告書(https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-26590250/26590250seika.pdf)および編著書『自閉スペクトラムの発達科学、日本発達心理学会編、新曜社、2018年刊』を参照いただきたい)の検証を目的とした研究の推進である。
     この仮説(試論)を実証することができれば、自閉スペクトラム症の発症の敏感期(好発期)と考えられる早期幼児期(0歳から3歳頃まで)の乳幼児には、繰り返しや規則的な要素が強いと同時に社会的随伴性のない情報過剰環境に適応しようとする自発的な行動を惹起させやすいタブレットやスマホ(これらは、乳幼児でも簡単に操作ができ、満足感を手軽に得やすい機器)に見入らせない・聴き入らせない・さわらせないという対処が有効であると提言することができると考えている。また、ADHDや学習障害(限局性学習症:SLD)の好発期と考えられる幼児期(6~7歳頃まで)においても、上記とは若干異なる理由から、タブレットやスマホ(スマートフォン)には見入らせない・さわらせないという対処が有効であると提言することができると考えている。
     しかしながら、このような対処は、現実的にはかなり難しいので、こうした試みは、医療機関や大学などの専門家の助言をもとに、自治体が主導して地域を定めて実施し、その効果や問題点などを検証することが必要であろうと考えており、共同研究を計画したいと考えている。

経歴

  1. 国立特殊教育総合研究所分室研究員 1979/10-1992/09
  2. 国立特殊教育総合研究所分室主任研究官 1992/10-1999/03
  3. 国立特殊教育総合研究所分室長 1999/04-2004/03
  4. 茨城大学教育学部教授 2004/04-2017/03/31
  5. 放送大学客員教授 2006/04-2011/03
  6. 茨城大学 名誉教授 2017/04-現在
  7. 茨城大学教育学部 特任教授 2017/04-現在

学歴

  1. 東京学芸大学 教育学部 1975 卒業
  2. 東京教育大学大学院 教育学研究科 実験心理学専攻 修士 1978 修了

学位

  1. 教育学修士 東京教育大学 1978/03
  2. 博士(心理学) 筑波大学 1991/11

教育・研究活動状況

 教育活動としては、教育学部学校教員養成課程の特別支援教育コース、特別支援教育特別専攻科、大学院教育学研究科障害児教育専攻にかかわる心理学の分野の教員として、「発達障害児教育概論」、「特別支援教育特論」、「障害児発達臨床学」、「障害児心理学特論Ⅱ」、「障害児心理学演習Ⅱ」、「知的障害児の病理」、「障害児心理学研究法」などの授業を担当し、これらのコース・専攻科の学生・院生の論文指導にあたっている。
 研究活動としては、発達心理学・臨床心理学・認知神経科学を中心に、生物-心理-社会の統合的アプローチから、自閉スペクトラムの探究に取り組むとともに、特別支援教育の在り方・内容・方法について研究している。
 具体的には、1)自閉スペクトラムにおける社会性の発達、2)自閉スペクトラム症の発症メカニズムと環境要因、3)アセスメント技法の開発、4)大脳における言語・認知機能発達の研究、5)自閉症児教育に関する研究などを展開している。

研究分野

  1. 発達心理学
  2. 臨床心理学
  3. 実験心理学
  4. 教育心理学
  5. 特別支援教育

研究キーワード

  1. 自閉症、自閉スペクトラム症、発達障害、発達環境、社会性の発達、生物-心理-社会アプローチ、臨床発達心理学、認知神経科学

研究テーマ

  1. 自閉症者の社会的困難の認知神経学的基盤を実際場面で捉える:基礎研究から臨床応用へ 2014/04-2017/03
  2. 自閉症児に不安を与えない支援のあり方の検討 本研究では、自閉症、アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害(以下 ASD)児者に認められる不安感について、①不安感が生じる原因とそのメカニズム、②不安感の予兆の検出、③不安感・安心感の客観的評価技法の開発、④不安感が生起しにくい環境の設定、⑤安心感を育む支援のあり方、の5点を明らかすることを目的として、次の3つのアプローチから検討した。  (1) ASD児における不安感・安心感に関する認知心理学的・生理心理学的検討  (2) ASD児に不安を与えない支援のあり方の検討及び教育現場での支援技法の開発  (3) ASD児の安心感を育む臨床発達心理学的支援に関する検討   2011/04-2015/03
  3. 自閉症児に理解しやすい音声指示のあり方の解明 本研究では、自閉症スペクトラム障害児・者の音の受容特性の認知科学的検討、音の受容特性に適合した支援方法について検討している。 2007/04-2010/03
  4. 高機能自閉症児およびADHD児の社会性の評価と育成に関する研究 本研究では、高機能自閉症(アスペルガー症候群を含む)とADHDの児童生徒の社会性および衝動性の自己コントロール能力や感情・表情認知能力などの発達過程について、3歳~15歳の定型発達児の発達過程と比較し、それらの能力の評価方法と育成支援の方法について検討した。 2004/04-2007/03

競争的資金等の研究課題

  1. 自閉症者の社会的困難の認知神経学的基盤を実際場面で捉える:基礎研究から臨床応用へ 科研費 挑戦的萌芽研究 科研費 2014/04/01-2017/03/31
  2. 自閉症児に不安を与えない支援のあり方の検討 科研費 基盤研究(B)一般 科研費(基盤研究(B)) 2011/04/01-2015/03/31
  3. 自閉症児に理解しやすい音声指示のあり方の解明 科研費 基盤研究(B)一般 2007/04/01-2010/03/31
  4. 高機能自閉症児およびADHD児の社会性の評価と育成に関する研究 科研費 基盤研究(B)一般 2004/04/01-2007/03/31
  5. 自閉症児の社会的認知に関する実験心理学的研究 科研費 基盤研究(B)一般 2009/04/01-2011/03/31

著書

  1. 自閉スペクトラムの発達科学 日本発達心理学会 新曜社 2018/03/28 978-4-7885-1576-5 「発達の多様性」として自閉症を捉え直す。いま自閉症の概念は大きく変わりつつあり、医学的な症状としてだけでなく神経発達の多様性の問題として考える視点が注目されている。しかし「自閉症」から発達の多様性と連続性を表す「自閉スペクトラム症」に名称が変わったものの、国際的な研究動向をみても、その観点からの検討は緒についたばかりといえる。これまで治療や行動修正の対象になる病理現象として捉えられてきた自閉症を、発達の多様性の具体的な現れという視点で捉え直し、心理学、医学、支援者、当事者など多様な立場から、基礎研究と臨床研究、また萌芽的な研究や試みも含め最先端の知見を展望し、新たな方向性を探求する。
  2. 臨床発達心理学の基礎[第2版](本郷一夫・金谷京子編)発達障害 東條吉邦 ミネルヴァ書房 2016/04/15 978-4-623-07662-8
  3. 発達と支援 日本発達心理学会 新曜社 2012/05/11 978-4-7885-1278-8
  4. 発達障害の臨床心理学 東條吉邦,大六一志,丹野義彦 東京大学出版会 2010/01/15 978-4-13-011125-6 発達障害者支援法の制定以後、ますます重要となっている発達障害への心理学的支援について、第一線の研究者=実践者が、脳科学をはじめとする生物学的知見や、医療、学校、地域との連携を視野に入れ、実証にもとづく「発達障害の臨床心理学」の見取り図を描いた。
  5. 自閉症-幼児期精神病から発達障害へ-(高木隆郎編)自閉症児の教育 寺山千代子,東條吉邦 星和書店 2009/09/28 978-4791107230

論文

  1. 研究論文(学術雑誌) 共著 Preferential awareness of protofacial stimuli in autism. Akechi, H., Stein, T., Kikuchi, Y., Tojo, Y., Osanai, H., & Hasegawa, T. Cognition 143, 129-134 2015/07/03 10.1016/j.cognition.2015.06.016
  2. 研究論文(学術雑誌) 共著 Absence of preferential unconscious processing of eye contact in adolescents with autism spectrum disorder. Akechi, H., Stein, T., Senju, A., Kikuchi, Y., Tojo, Y., Osanai, H. & Hasegawa, T. Autism Research 7/ 5, 590-597 2014/10 10.1002/aur.1397
  3. 研究論文(学術雑誌) 共著 Neural and behavioural responses to face-likeness of objects in adolescents with autism spectrum disorder. Akechi, H., Kikuchi, Y., Tojo, Y., Osanai, H., & Hasegawa, T. Scientific Reports 4/ 3874, 1-7 2014/01 10.1038/srep03874
  4. 研究論文(大学,研究機関紀要) 共著 自閉スペクトラム症における社会的困難と不安感について 渡邊喜久枝・東條吉邦 茨城大学教育学部紀要(教育科学) 65, 219-241 2016/03/28
  5. 研究論文(大学,研究機関紀要) 共著 定型発達児とASD児における欺きと心の理論-自分のための嘘と他人のための嘘- 南島彩乃・藤野博・松井智子・東條吉邦・計野浩一郎 東京学芸大学紀要(総合教育科学系Ⅱ) 67/ 2, 235-243 2016/02/29 18804306

研究発表

  1. ポスター発表 自閉スペクトラム症児とその兄弟姉妹の発達環境の検討―乳幼児期のテレビ視聴の状況と対人行動の特徴に関する調査から― 日本自閉症スペクトラム学会第15回研究大会 2016/08/28
  2. ポスター発表 ASD 児・TD 児における動画および静止画像に対する「自動的」表情模倣 日本発達心理学会第27回大会 2016/04/29
  3. 口頭発表(基調) 自閉症研究の現在 日本特別ニーズ教育学会第21回大会 2015/10/17
  4. ポスター発表 Theory of mind and receptive vocabulary in school-aged children with high-functioning autism spectrum disorder. 17th European Conference on Developmental Psychology 2015/09/11
  5. ポスター発表 ASD者におけるアイコンタクトによる心拍数の減少 日本発達心理学会第26回大会 2015/03/21

所属学協会

  1. 日本心理学会 1976/04-現在
  2. 日本発達心理学会
  3. 日本自閉症スペクトラム学会 2002/03-現在
  4. 日本特殊教育学会
  5. 日本臨床発達心理士会 2003/03-現在

委員歴

  1. 日本自閉症スペクトラム学会 理事 2017/09-現在
  2. 日本自閉症スペクトラム学会 常任編集委員 2015/08-現在
  3. 日本自閉症スペクトラム学会 常任理事 2006/04-2014/08
  4. 日本自閉症スペクトラム学会 編集委員長 2002/03-2013/03/31
  5. 日本臨床発達心理士会 茨城支部長 2006/05-2012/05/26