茨城大学
理工学研究科(理学野)
数学・情報数理領域

准教授

鈴木 香奈子

スズキ カナコ
SUZUKI Kanako

経歴

  1. 東北大学大学院情報科学研究科・助教 2011/04/01-2012/03/31
  2. 東北大学国際高等研究教育機構国際高等融合領域研究所・助教 2008/02/16-2011/03/31

学歴

  1. 東北大学 理学部 2001/03/25 卒業
  2. 東北大学 理学研究科 博士後期 2006/03/24 修了

学位

  1. 博士(理学) 東北大学 2006/03/24

教育・研究活動状況

生物に見られるパターン形成のモデル方程式として重要な反応拡散系の解のダイナミクスや空間パターンについて、解の性質とパラメータの関係を詳しく解析することにより、パターン形成のメカニズム理解に取り組んでいる。最近の研究では、形態形成の数理モデルとして重要な活性因子―抑制因子型の反応拡散系について、基礎生産項と解のダイナミクスの関係を詳しく解析した。特に、数理モデルの解が空間パターン形成に失敗する現象のメカニズムと、そのダイナミクスを解析したことで、基礎生産項が数理モデルの構造に与える影響が明らかになり、さらに、このような現象が数値的な問題で起こるものではないことが明らかになった。数値実験は、数理モデルの妥当性の判断のためにも重要な役割を果たすものであるが、本研究結果により、数値解析を理解するための、数理モデルの構造、パラメータ範囲と初期値に関する情報が得られたことは重要である。その他に、パターン形成のモデルにおける拡散項の重要性に関する問題にも取り組んだ。本研究では、拡散項のない方程式と拡散項を含む方程式から成る連立方程式系の空間パターンの存在と安定性を考察し、ほとんどの場合において空間パターンが不安定になることを証明した。多くの反応拡散系は、20世紀半ばにチューリングによって提唱された「拡散誘導不安定性」という原理に基づいている。この原理は、異なる拡散率をもつ二種類の粒子が相互作用をしつつ拡散するとき空間的非一様性が出現し得る、というものである。この考えは、平衡点近傍での局所的なダイナミクスのみから導かれるため、空間パターンのダイナミクスに関する情報は何も示していないが、本研究結果により、数理モデルにおいて、すべての物質が拡散することの重要性の一端が明らかになった。

研究分野

  1. 数学解析

研究キーワード

  1. 反応拡散系、パターン形成
  2. 非線形偏微分方程式

研究テーマ

  1. 空間非一様パターンを形成する反応拡散系がもつ構造の体系的理解 2011/04-2014/03
  2. 拡散-非拡散物質から成る反応系における相互作用とダイナミクスの関連性の探究 2014/04-2017/03
  3. 拡散誘導不安定化と非拡散過程が織り成す反応拡散系のダイナミクス探求 2018/04-現在

論文

  1. 研究論文(学術雑誌) 共著 Weak limit theorem for a nonlinear quantum walk Masaya Maeda, Hironobu Sasaki, Etsuo Segawa, Akito Suzuki, Kanako Suzuki Quantum Information Processing 17, 215 2018 10.1007/s11128-018-1981-z 非線形量子ウォークの漸近挙動について考察した。
  2. 研究論文(学術雑誌) 共著 Scattering and inverse scattering for nonlinear quantum walks Masaya Maeda, Hironobu Sasaki , Etsuo Segawa, Akito Suzuki and Kanako Suzuki Discrete & Continuous Dynamical Systems - A 38/ 7, 3687-3703 2018 10.3934/dcds.2018159 場所に依存する非線形性をもつ量子ウォークの解の振る舞いについて、非線形性が十分小さいときには線形の量子ウォークのように振る舞うことを示した。さらに、逆散乱を考察した。
  3. 研究論文(学術雑誌) 共著 Dynamical spike solutions in a nonlocal model of pattern formation, (1) Anna Marciniak-Czochra, Steffen Hearting, Grzegorz Karch and Kanako Suzuki Nonlinearity 31, 1757-1781 2018 10.1088/1361-6544/aaa5dc Reaction-diffusion-ODE systemの解の無限時間爆発を解析するため、肺がん初期に見られる空間パターン発現のメカニズムを記述する数理モデルに対して、拡散係数を無限大とした極限方程式を導き、時間無限大で非有界となる解の存在を示した.
  4. 研究論文(学術雑誌) 共著 Instability of turing patterns in reaction-diffusion-ODE systems Anna Marciniak-Czochra, Grzegorz Karch, Kanako Suzuki Journal of Mathematical Biology 74, 583-618 2017 10.1007/s00285-016-1035-z 肺がんを例にもつ種類の発がん初期に組織上に見られる巨視的な空間パターンが形成されるメカニズムを記述した3つの未知関数から成る反応拡散系について数学的解析を行い,存在し得る空間非一様な定常解をすべて求め,かつ,それらがすべて不安定となることを証明した.
  5. 研究論文(学術雑誌) 共著 Diffusion-driven blowup of nonnegative solutions to reaction-diffusion-ODE systems Marciniak-Czochra, Anna; Karch, Grzegorz; Suzuki, Kanako; Zienkiewicz, Jacek Differential and Integral Equations 29/ 7-8, 715-730 2016

研究発表

  1. 口頭発表(一般) Reaction-diffusion-ODE systemの定常解の不安定性と解の挙動 北陸応用数理研究会2018 2018/02/20
  2. 口頭発表(一般) Reaction-diffusion-ODE systemの定常解の安定性とダイナミクス RIMS共同研究(公開型)「非線形現象と反応拡散方程式」 2017/10/27
  3. 口頭発表(一般) Unstable patterns and phenomena in some reaction- diffusion-ODE systems RIMS共同研究(グループ型)「反応拡散方程式と非線形分散型方程式の解の挙動」 2017/09/27
  4. 口頭発表(一般) Turing不安定性をもつReaction-diffusion-ODE 系のダイナミクスと空間パターン 拡散成分と非拡散成分が共存する反応拡散系がつくるパターン 2017/02/12
  5. 口頭発表(一般) Turing不安定性をもつreaction-diffusion-ODE systemの解のダイナミクス Turing機構に関連するパターンとダイナミクス 2015/12/19