茨城大学
理工学研究科(理学野)
物理学領域

顔写真
准教授

飯沼 裕美

イイヌマ ヒロミ
Iinuma Hiromi

経歴

  1. 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 助教 2011/04/01-2016/09/30
  2. 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 研究員 2008/07/01-2011/03/31
  3. 米国ブルックヘブン研究所 物理 研究員 2006/11/01-2008/06/30
  4. 理化学研究所 延與放射線研究室 2006/04/01-2006/10/31
  5. 中菱エンジニアリング株式会社 1997/04/01-2002/06/30

学位

  1. 博士(理学) 京都大学 2006/11/24
  2. 理学修士 名古屋大学 1997/03/25

免許・資格

  1. クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定) 2014/07/02
  2. 玉掛け 2014/08/22

教育・研究活動状況

ビームを用いた素粒子実験の研究室です。私は学生の時から国内外の加速器施設で研究活動を行ってきました(図1)。現在は、J-PARC(東海村)のミューオンビームラインで標準理論を超えた物理、時間反転対称性の破れの探索実験に取り組んでいます(図2)。ミューオンを均一な磁場中に置くとスピン歳差運動という、コマのような動きをします。その回転周期をサブppmで精密測定をすると、標準理論を越えた物理や電気双極子モーメント(EDM)の探索が可能です。EDMは時間反転対称性の破れを示唆する物理量であり、実験的に直接検出できれば世界初の成果になります。我々の実験では、医療用MRI技術を応用した世界最高制度の蓄積リング(図3に開発テストベンチを示す)に、9km飛ばしても1cmしか広がらない高品質のミューオンビームを蓄積し、ミューオンスピン歳差運動を超精密測定します。茨城大学はJ-PARCから最も近い大学であり、世界最先端の研究現場に気軽に足を運べるという恵まれた環境にあります。またつくば市のKEKキャンパスでは全長1mほどの電子銃ビームラインを占有しビーム力学・制御技術を基礎から習得できます(図4)。
加速器ビームを用いた研究活動です J-PARCで素粒子実験に取り組んでいます
加速器ビームを用いた研究活動です J-PARCで素粒子実験に取り組んでいます
世界一の磁場精度の蓄積リングを作ります 電子銃ビームラインで基礎研究もしています
世界一の磁場精度の蓄積リングを作ります 電子銃ビームラインで基礎研究もしています

研究分野

  1. 素粒子・原子核

研究キーワード

  1. スピン偏極したミュオンビームを用いた物理実験

研究テーマ

  1. J-PARCにおけるミューオン異常磁気モーメントと電気双極子の精密測定実験 2008/07/01-現在

競争的資金等の研究課題

  1. ミューオンg-2・EDMの同時測定に向けた、3次元螺旋ビーム入射の精密制御の確立 科研費 基盤研究A 日本学術振興会 2019/04/01-2023/03/31 本研究は素粒子ミューオンの異常磁気能率(g-2)および電気双極子(EDM)を同時に超精密測定する実験の要素技術開発を担う。磁場中のミューオンスピン歳差運動はg-2からの寄与が主だが、過去の実験によるEDM上限値程度の有限値を仮定すると、スピン歳差運動の角速度ベクトルの向きを1mrad程度変える。この信号=世界初のEDM成分の直接検出と、更なるg-2測定精度向上をもたらし、標準理論を越える物理探索を目指す。具体的には実験の中心技術「医療用MRIを応用した超電導磁石の蓄積リング」に入射した相対論的エネルギーのミューオンビームの「円軌道平面を0.01mradで安定制御」する手法の確立に取り組む。
  2. ペニングトラップを用いたミューオン精密測定手法の開発 科研費 挑戦的研究(萌芽) 日本学術振興会 2019/06/28-2021/03/31 本研究では、ミューオンを単独で電磁場内に捕獲するためのペニングトラップ装置の開発を行う。この装置を用いて短寿命荷電粒子の精密計測の基礎実験技術を確立させる。さらに高精度での測定にむけて乗り越えるべき課題を明らかにし、その解決方法を探る。 将来的には、ミューオンやミューオニック原子の質量mや磁気モーメントの大きさを決めるg 因子をペニングトラップ実験によって世界最高精度で求めることを念頭に、本研究課題2 年間で全くの白紙からロケットスタートする。精密測定によって、既知の物理学の限界を究め、さらに新しい物理の探索を行う、低エネルギー素粒子実験とも呼ぶべき分野を新たに開拓し確立することを目指す。
  3. ミューオン異常磁気能率の精密測定にむけたミューオン線型加速器低速部の実現 科研費 基盤研究(A) 2018/04/01-2021/03/31 J-PARC g-2/EDM実験のためのミューオンリニアック低エネルギー部におけるスピン偏極制御の実現に主眼を置いた研究開発を行う。
  4. ソレノイド型蓄積磁石への3次元らせん軌道によるビーム入射の実証実験 科研費 基盤研究(B) 2014/04/01-2018/03/31 本研究は、J-PARC g-2/EDM実験の蓄積リングの1/3スケールの小型ソレノイド磁石を設置したテストビームラインに、112keV/cの電子ビームを通し、3次元らせん軌道入射方式を実証するものである。
  5. 3次元らせん軌道ビーム入射のためのパルス状磁場発生装置の開発 科研費 若手研究(B) 2011/04/01-2014/03/31 本申請研究では入射ビームキッカー用のパルス状磁場発生装置の試作及び動作試験を行った。目標とする磁場の空間・時間分布を測定し、加速器学会で成果報告をした。

論文

  1. 研究論文(学術雑誌) 共著 A New Approach for Measuring the Muon Anomalous Magnetic Moment and Electric Dipole Moment M. Abe, et.al (96 persons in total. H. iinuma 19/96 alfabetical order) Progress of Theoretical and Experimental Physics The Physics Society of Japan 2019/ 5, 053C02 2019/05/30 10.1093/ptep/ptz030 新しい実験手法によるミューオンg-2/EDM実験の準備がJ-PARCで進んでいる。本論文は実験手法のまとめ、ビームラインの技術的開発の詳細、および物理データ取得手法の詳細を議論し、標準理論を越える新物理探索および、時間反転対称性の破れの直接検出の感度、実験のゴールを述べている。
  2. 研究論文(学術雑誌) Beam commissioning of muon beamline using negative hydrogen ions generated by ultraviolet light Y. Nakazawa, S. Bae, H. Choi, S. Choi, T. Iijima, H. Iinuma, N. Kawamura, R. Kitamura, B. Kim, H. S. Ko, Y. Kondo, T. Mibe, M. Otani, G. P. Razuvaev, N. Saito, Y. Sue, Eunil Won, T. Yamazaki, H. Yasuda Nuclear Instriments and Methods in Physics Research Section A ELSEVIER 937/ 1 September, 164-167 2019/09/01 10.1016/j.nima.2019.05.043 A muon linac is under development for the precise measurement of the muon anomalous magnetic moment (g-2) and electric dipole moment (EDM) with a reaccelerated thermal muon beam. An H− source driven by an ultraviolet light has been developed for the muon acceleration experiment. Prior to the acceleration experiment, a beamline commissioning was performed using this H− beam, since the accelerated muon intensity is very low. We successfully measured the magnetic rigidity, which is essential for identifying the accelerated muons. This H− source is capable of utilizing as a general-purpose beam source for other beamline.
  3. 研究論文(学術雑誌) 共著 First muon acceleration using a radio-frequency accelerator S. Bae, H. Choi, S. Choi, Y. Fukao, K. Futatsukawa, K. Hasegawa, T. Iijima, H. Iinuma, K. Ishida, N. Kawamura, B. Kim, R. Kitamura, H. S. Ko, Y. Kondo, S. Li, T. Mibe, Y. Miyake, T. Morishita, Y. Nakazawa, M. Otani, G. P. Razuvaev, N. Saito, K. Shimomura, Y. Sue, E. Won, and T. Yamazaki PHYSICAL REVIEW ACCELERATORS AND BEAMS APS Physics 21/ 050101 2018/05/18 10.1103/PhysRevAccelBeams.21.050101
  4. 研究論文(学術雑誌) 共著 Magnetic design and method of a superconducting magnet for muon g− 2/ EDM precise measurements in a cylindrical volume with homogeneous magnetic field M. Abe, Y. Murata1, H. Iinuma, T. Ogitsu, N. Saito, K. Sasaki, T. Mibe, H. Nakayama Nuclear Inst. and Methods in Physics Research ELSEVIER 890, 51-63 2018/05/11 10.1016/j.nima.2018.01.026
  5. 研究論文(学術雑誌) 共著 Three dimensional spiral injection scheme for the g-2/EDM experiment at J-PARC H. Iinuma, H. Nakayama, Katsunobu Oide, Ken-ichi Sasaki, Naohito Saito, Tsutomu Mibe (KEK) and Mitsushi Abe (Hitachi, Ltd) Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 832, 51-62 2016/05/29 10.1016/j.nima.2016.05.126 A newly developed three-dimensional spiral injection scheme for beam insertion into a solenoidal storage ring is reported.

研究発表

  1. ポスター発表 Design works of the 3-D Spiral injection beam for the muon g-2 and EDM experiment at J-PARC 10th Aniversary J-PARC Symposium 2019 2019/09/23
  2. 口頭発表(一般) J-PARC ミューオンg-2/EDM実験のための高度のX-Y結合を生成するビーム輸送ライン設計 第16回日本加速器学会 2019/07/31
  3. ポスター発表 J-PARCミューオンg-2/EDM実験のための垂直ビームキッカー装置の概念設計とテストベンチ作業準備 第16回日本加速器学会年会 2019/07/31
  4. ポスター発表 BEAM CONTROL AND MONITORS FOR THE SPIRAL INJECTION TESTEXPERIMENT 10th Int. Particle Accelerator Conference (IPAC2019) 2019/05/19
  5. ポスター発表 Development of Inter-Digital H-Mode Drift-Tube Linac Prototype with Alternative Phase Focusing for a Muon Linac in the J-PARC Muon G-2/EDM Experiment International Particle Accelerator Conference (IPAC'19) 2019/05/19

受賞

  1. 若手発表賞(研究機関・大学・企業等に所属する45歳未満のビーム物理研究やビームに関連する装置開発・運用に関わる若手研究者、技術者、大学院生、学生を対象) ミューオン異常磁気能率精密測定におけるIH-DTLを用いたミューオン加速の現状 2019/11/26
  2. 学生ポスター賞 Current status of the muon acceleration with IH-DTL in the muon g-2/EDM experiment 2019/10/31
  3. KEKスチューデント・デイ機構長賞 2018/11/13
  4. 若手奨励賞受賞(実験核物理領域) 2010/09/10
  5. RHIC AGS 学位論文大賞 2007/07/01 米国ブルックヘブン研究所が主催する、ブルックヘブン研究所の加速器を用いた物理分野の実験をテーマにした博士論文のコンペティション。 https://www.bnl.gov/userscenter/Thesis/2007/thesis_2007.asp

担当授業科目

  1. 量子物理学概論
  2. 科学の基礎(物理学基礎)
  3. 物理学実験

社会貢献活動

  1. 理工系女子応援シンポジウム 2017/10/14-現在 大学への進路選択を控えた生徒(主に女子高校生)や、保護者、教育関係者に、理工系を選択した場合の将来像をイメージをもつために、先輩女性研究者たちの体験を聞く機会を持ちました。

所属学協会

  1. 日本物理学会
  2. 日本中間子学会
  3. 日本加速器学会